超音波エコー検査

超音波エコー検査とは、超音波を患部に当てて筋肉や靭帯、骨、関節などの状態を確認する画像検査です。画像の状態で患部の固定の強度を選んだり、スポーツや社会復帰の目安としても使用します。スポーツ復帰前に筋肉や靭帯などの状態を確認することでケガの再発防止を目指します。

❶ 超音波エコーってなに?

骨や筋肉などの各組織により硬さ(密度)が異なるため、その境界面で超音波が反射し、一部は透過する。

画像上、反射する部位は高エコー像(白く)

透過する部位は低エコー像(黒く)として描出される

この輝度により生体の断層像観察が画像上で容易にリアルタイムに、しかも安全に得ることができる特徴がある。

❷ 超音波エコーのメリット

検査

• 人体に無害で安全

レントゲンやCTと異なり、人体に直接放射線を浴びることがありませんので、小さなお子様や妊娠されている方、ご高齢の方まで安心して繰り返し検査を受けていただくことができます。


• リアルタイムで患者さんと一緒に患部の状態を確認できる

関節や筋肉を動かしながら観察できるので、患部が実際動かした時どうなるのか?を確認することができます。これは静止した状態を映すレントゲンなどではわからないことであり、エコーの大きなメリットです。治療の経過の間、繰り返し使用して状態を観察していくことが出来ます。「レントゲンで骨に異常がないから大丈夫」と言われても違和感や痛みがある場合も多いと思います。レントゲンやCTでは映らない軟部組織の損傷もエコーでは観察が可能です。


• 検査する場所を選ばない

当院のエコーは従来の物よりとても小さく持ち運びに便利です。プローブとタブレットがあれば外でも中でも場所を選ばず気軽に検査することができます。

• ドプラを使って血流の確認ができる

組織が損傷したり、炎症を起こしたりすると、そこを治そうと血管増生という身体の反応が生じる。血管増生が起きた部位には血流が増加する。その際ドプラを使うことでその部位に血流が増加したことを、画像上に映し出すことができる。血流量が増えるところは炎症があり、組織修復を行っているところだと考えられる。

❸ 超音波エコーのデメリット

• 全体像の把握に不向き

プローブで当てた部位しか画像には映りませんので、たしかに全体像を把握するのは不向きです。ですがレントゲン画像では映らない骨折を発見することもしばしばあります。もちろんレントゲン画像からえられる情報はとても多く診断には必要不可欠なものです。エコーとレントゲン、MRIやCTなどそれぞれの有用性を活用することで確実な診断を得られる可能性が高まるので、当院では医接連携をし的確な施術ができるよう心掛けております。


• 良い画像を得るには技術と慣れが必要

以前映し出した部位や、左右対称で同じ所を映し出す技術、そもそも画像としてきれいで見やすいように描出するにはそれなりの技術が必要になります。部位の知識や立体的に部位を把握していないと良い画像を描出するのは難しいです。

❹ 超音波エコー検査実際


・骨は超音波をほとんど通さないため、骨表面だけが連続性のある線状高エコー像として描出される。
・骨表面の特徴的な隆起や陥凹が、再現性のある画像を描出するための指標になる。
・描出された輪郭部分の乱れをみつけることで、骨折や骨棘の有無、リウマチや腫瘍性病変に伴う骨融解を正確にとらえることができる。

軟骨


・関節軟骨は均質な媒質であるため超音波がほとんど反射せず、低エコー像として描出される。
・膝の半月板(線維軟骨)は、異なる走行の膠原繊維で構成さるため超音波の反射体となり、高エコー像として描出される。


・筋肉は特有のフィブラルパターン(模様)を示すので低エコー高エコーが混ざるように描出される。
・疼痛部を中心に損傷部位は途絶、血種の有無をみる。
・断裂部の血種は、初期には低エコー像を示すが、肉芽組織に置換されていく過程で高エコー像を示すようになる。

靭帯


・靭帯は、繊維密度の高い膠原繊維が配列されたフィブラルパターンを示す。
・靭帯断裂は、靭帯の腫大低エコー像が特徴である。

末梢神経


・神経線維束が低エコー像、神経周膜や神経上膜が高エコー像を示す。
・外傷部位や生理的絞扼部位(手根管、肘部管、ギヨン管、足根管など)が観察ポイントである。
・ガングリオンや骨棘による病変部の圧迫や神経自体の局所肥大がわかる。

血管


・血液は超音波をほとんど反射しない媒質であるため、血管内腔は低エコー像になる。
・組織炎症、組織修復に伴って血管増生が生じる。画像上、血流量が増えるところは炎症があり、組織修復を行っているところになります。
ドプラを使えば近づいてくる血流(動脈)は赤色
遠ざかる血流(静脈)は青色
で表示される

❺料金

検査料1回1000円(税込)


※エコー検査は負傷部位の状態、症状に応じて必要と判断した場合に行っています。

❻まとめ

超音波エコー検査を行ったからといってよくなるわけではありません。あくまで施術の判断材料の一つになります。
当院では問診、検査を大切にしており運動療法も積極的に行っています。きちんと臨床所見をとった上でエコーを使うことにより、よりしっかりとした病態の把握をすることが可能になります。